私が埼玉県に引っ越してきたのは昭和52年3月であるから在住33年となるが、県内の山に登りだしたのは平成6年以降のことである。山好きの私はそれまで自分だけの登山をしてきたが、妻に対しての後ろめたさもあって50歳を過ぎてからは近くの山へ妻を連れて登るようになった。奥武蔵の山々は林道が舗装されていることから飯能から寄居まで山並みをドライブできることもあって手軽に里山登山を楽しむことができる。特に小川町にある笠山の中腹から湧き出す山清水を汲みに行くようになって周辺の里山に登るようになった。10数年前から毎月一度は嵐山町農協、小川町農協や東秩父村農協などで買い物をしてから、笠山の水場に行き、水を汲んでから笠山峠へ車を走らせ、そこを起点にどの山に登ろうかと思案して目的の山に車を走らせるのが私たち定番コースなのであり、里山登山して弁当を食べながら山頂から眺める景色は素晴らしく、我々にとっては最高の贅沢ともいえる。俳句を趣味にしている私は同じ山に何回登ろうとも、俳句を詠む情景が四季折々に変り、登るたびに新鮮な俳句が生まれてくるのです。そんな素晴らしい奥武蔵の山を紹介します。 ★平成22年度からは各年度の山行記録を御覧下さい。下線クリック
★天覧山1〜多峰主山1
昭和38年10月20日
★天覧山2〜多峰主山2
平成7年9月28日
★日を浴びてどの石仏も秋暑し
★熟女いて賑やかに秋楽しめり
★渡る鷹に一心不乱のバードウォッチャー
★秋風や田楽食うて山静か
★立て札に「マムシに注意」杖を突く
★杖突いて妻頑張りぬ秋の峰
★秋の蚊に襲われし半袖の妻
★渡る鷹みつけし妻の歓喜かな
★山下る二人は五十路秋の風
★蝉逝きて見送る彼岸花数多
★高麗神社〜鎌北湖〜黒山三滝〜天覧山3
平成7年9月28日
★秋蝉や出世明神の名刺受け
★秋暑し水飲む鯉の斜め立ち
★神殿の簾を揺らす秋の風
★干しあがる湖面に蜻蛉触れにけり
★秋旱釣り師もボートも湖の底
★魚跳ねて水輪広がる残暑かな
★珍しき秋蝉と妻出会いけり
★心地よき山の冷気や秋の風
★妻と立つ天覧山も秋めきぬ
★遠足の下見している女教師
★撫子や札所巡りの老夫婦
★宝登山の涼風に身を晒しけり
★炎暑かな頭を垂れし山の花
★宝登山に親子連れ立つ炎暑かな
★日盛りやイヌワシの舞う山低き
★炎天に耐えねばならぬ山の花
★地図を見る小学生の夏休み
★長瀞も子らで賑わいう夏休み
★さざ波も立てずに流る夏の川
★炎暑にて足元暑き石畳
★三峰山
平成6年8月9日
★山間を行く秩父路の青葉かな
★夏枯れて秩父湖の底見えにけり
★涼風や山の社の杉並木
★登拝して亡き父偲ぶ晩夏かな
★親も子も深山に遊ぶ夏休み
★涼風やお札売るうら若き巫女
★風鈴や妻と楽しむ茶の湯かな
★雲垂れて稜線見えぬ夏嶺かな
★霊山の風涼しくて長いかな
★雨の降らぬ夏もありけり山のダム
★官ノ倉山1〜石尊山1
平成8年5月25日
★車窓の若葉萌え立つ奥武蔵
★若葉風吹き抜けて行く麓かな
★代掻きや蛙の鳴きし登山口
★オタマジャクシ群れて湖岸染めにけり
★ひんやりと山路細まる夏木立
★夏山に火の用心の札ありぬ
★いい風だ若葉も揺るる官の倉山
★鶯の声透きとおる静寂かな
★黒揚羽も蜜蜂も山楽しめり
★伝説の不動の瀧や水甘し
★官ノ倉山2〜石尊山2
平成8年9月15日
★芹摘みて故郷思う敬老の日
★水引草山路ひんやり心地よき
★秋山中思わぬ人に出会いけり
★山の昼ブドウの美味き食後かな
★どの顔もみな輝きぬ秋の山
★感動や開ける大地天高し
★友の吹くハーモニカ秋を奏でけり
★吾子のこと忘れて秋を愉しめり
★不動尊に何を祈るや秋の人
★下山して生椎茸買って帰りけり
★金勝山1
平成8年9月28日
★秋澄むや空気の美味き木立中
★赤とんぼ山道は今修理中
★秋蝉や鳴き急ぐことなかりけり
★草叢の虫に目をやりうなづきぬ
★妻の手にすいっちよ一匹羽交い絞め
★草叢に紛れてバッタ飛び立たず
★妻の杖に驚きカエル逃げ出しぬ
★山の蚊二匹打ち潰す秋の昼
★またしても秋の黄蝶に出会いけり
★靴音に蜥蜴急いで藪に入る
★金勝山2
平成19年9月8日
★里山の青葉萎れる秋暑し
★野分跡青団栗も散りにけり
★刻惜しみ山中のセミ鳴き止まず
★セミ止めば山に静けさ戻り来る
★木漏れ日や台風一過の空青き
★涼風と木陰もてなす金勝山
★秋雲や遠峰霞んでなお遠く
★秋雲や小屋のテラスに老夫婦
★プラネタリューム気の遠くなる秋の星座
★釣り人の日傘の影や山の池
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